未成年の家出について①
藤波です。
未成年の子どもが長期にわたって帰宅しないというトラブルが相次いで報じられています。
2022年11月には岡山県倉敷市に住む中学3年生の男子が自転車で外出したまま行方不明になっており、4カ月が過ぎた2023年3月現在でもまだ帰宅・発見に至っていません。
2022年12月には静岡県伊豆の国市でも中学3年生の男子が電車に乗ったまま行方不明になり、約1か月後に同市内の施設で発見される事案がありました。
子どもがみずから家出をしたり、なんらかのトラブルに巻き込まれて行方不明になってしまったりしたとき、まず駆け込むのは最寄りの警察署や交番でしょう。家出の届け出を受けた警察はどんな活動で子どもを探してくれるのか、実際のケースではどのくらいの期間で発見されるのかなどに触れていきましょう。
●1日あたり200人以上が行方不明に
警察では1年間でどのくらいの「家出」の届出を受けているのでしょうか?
みずから自宅を離れて行方をくらませる「家出」を含み、居所がわからなくなった人のことを警察では「行方不明者」と呼んでいます。国家公安委員会規則である「行方不明者発見活動に関する規則」第2条1項において「生活の本拠を離れ、その行方が明らかでない者」のうち、家族などから行方不明者届が提出された者のことを「行方不明者」と呼ぶと定義されています。
2009年に規則が改正されるまでは「家出人」と呼んでいました。また、現行の行方不明者届も改正前までは「捜索願」と呼んでいたので、今でも警察署の窓口にいくと「家出人の捜索願ですね」と言われることもめずらしくありません。
警察庁が公開している「令和3年における行方不明者の状況」によると、令和3年中に全国の警察が受理した行方不明者の数は7万9218人です。統計のうえでは過去2番目に少ない数字ですが、1日あたり200人以上が行方不明になっているという現実をまず知っておきましょう。
●行方不明者「圧倒的に多いのは10代~20代で、全体の約37%」
では行方不明者で多いのはどんな年代で、理由は何でしょうか?
令和3年中の行方不明者を年代別にみてみると、多い順に20歳代(1万5714人、19.8%)、10歳代(1万3577人、17.1%)、80歳以上(1万2706人、16.0%)、70歳代(1万242人、12.9%)となります。(「令和3年における行方不明者の状況|警察庁」より)
やはり圧倒的に多いのは10代~20代で、全体の約37%を占めています。事件・事故による行方不明というよりも「家出」という性格のほうが強いかもしれません。
次に多いのが高齢者で、全体の約29%が70歳以上です。
行方不明になった原因・動機は次回で・・・、疾病関係(2万3308人、29・4% ※うち認知症は1万7636人、22.3%)、家庭関係(1万2415人、15.7%)、事業・職業関係(8814人、11.1%)、学業関係(1750人、2.2%)、異性関係(1240人、1.6%)、遊び癖・放浪癖・事件事故など(1万5477人、19.5%)、届出人に思い当たる理由がない(1万5794人、19.9%)となっています。(「令和3年における行方不明者の状況|警察庁」より)
この「原因・動機」の統計は、行方不明者届の提出時点で考えられる理由をピックアップしたものです。
断トツの1位は疾病関係ですが、その大部分が認知症を患っているケースです。
通常、10代~20代の人が認知症のために行方不明になるといった状況はあまり考えられません。すると、若い年代の人が行方不明になる理由は、家庭関係・学業関係の悩みや遊び癖のほか、家族にも心当たりがないといったケースになるでしょう。
子どもが家出してしまったときに「なぜ?」「まったく心当たりがない」といった方も多いのですが、そうすると重大な事件・事故に巻き込まれたのか、それとも自発的な家出なのかの判断が難しくなります。
異変を感じ取るためにも、子どもの趣味・嗜好、行動範囲や交友関係などはできる限り把握しておいたほうがいいでしょう。
行方不明になった原因・動機は次回で・・・
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